2008.03.07
複数の視点を持て
『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』(山田真哉著 光文社新書)を読んだ。先日書いた、『食い逃げされてもバイトは雇うな』の続編である。
続編なのに言ってることが真逆って何? その真意が知りたくて実は2冊をまとめ買いしていた。まんまと著者と光文社の策略にはまっている。
『食い逃げされてもバイトは雇うな』(以後、上巻と呼ぶ)が、「会計的視点」からかかれた本であるのに対し、『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』(以後、下巻)はより広い視点で数字を扱った内容である。そこのところに、逆転した主張の真相がある。
タイトルの元になった例を挙げよう。店主ひとりできりもりしているあるラーメン屋では、店主が出前に出てしまうと店は無人になり、そのためによく食い逃げが発生する。アルバイトを雇えば解消されるだろうが、アルバイト料の相場と食い逃げの頻度から言って、アルバイトを雇うより食い逃げを放置する方が安くつく。
こんなとき、どうするか? 会計的な視点から言えば、コストパフォーマンスのいい方を選べ、ということになる。つまり、「バイトは雇うな」だ。一方、非会計的な視点から言えば、「食い逃げが放置される店」というイメージが定着してしまうよりは、コストがかかってもバイトを雇い、食い逃げを見逃さないようにした方がよい、という考えが出てくる。「バイトを雇うな」なんて大間違い、というわけだ。
このように、どのような視点から見るのかによって、同じ問題に対しても導き出される答えは違ってくる。それが、上巻と下巻で真逆の主張をしている理由なのである。
視点によって答えが変わるということは、逆に言えば、ひとつの視点しか持たないことは危険である、ということである。別の方法があるかもしれないのに、それを一顧だにしないのだから。山田さんは、現在のビジネスが、ある「二つのこと」を常識として動いていることがその危険な状態にあたるとして、下巻の中で警鐘を鳴らしている。
山田さんは言う。《ビジネスにおいても、生活においても、大事なのは複数の視点を常に持つことです》と。
そこから僕が連想したのは、著書『ひとりでは生きられないのも芸のうち』の中で、内田さんが、雑誌『CanCam』のひとり勝ちについて語った文章である。
CanCamは「めちゃモテ」をコンセプトにしたファッション誌。「めちゃモテ」とは、ちょっとずつすべての人から愛されるファッションのことを指す。
内田さんによれば、彼の勤務する大学では、毎年多くの新入生がCanCam的ファッションで決めてくるのだそうである。「めちゃモテ」で決めている彼女たちは、ちょっとずつすべての人に愛されるから、すぐにみんなと友達になってしまう。
面白いのはここからで、一度友達の輪が形成されてしまうと、次からはそれぞれ、思い思いの装いをしてくるようになるというのである。
つまり、彼女たちは、本当はそれぞれ好みの服装があるにも関わらず、入学直後は戦略的に、CanCam的ファッションで決めてきているのだ。大学生活を有意義に過ごすために必須な「友達の輪」をいち早く確保するために。
これは、自分本位な視点のほかに、他者本位の視点も持ち合わせているからこそできる技だ。
一方で、自分本位な視点のみで、はじめから自分の好きな服装でやってくる新入生は、CanCam的新入生に比べて、友達を作るのが遅れるのだという。
確かに、複数の視点を持てる人の方が、持てない人に比べて、ずっと有利にものごとを運ぶことが出来ているのである。しかも、こんな身近な場面でも。
複数の視点を持つこと。視野狭窄に陥らないこと。
それが、よく生きていくためには非常に重要なのだ。
続編なのに言ってることが真逆って何? その真意が知りたくて実は2冊をまとめ買いしていた。まんまと著者と光文社の策略にはまっている。
『食い逃げされてもバイトは雇うな』(以後、上巻と呼ぶ)が、「会計的視点」からかかれた本であるのに対し、『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』(以後、下巻)はより広い視点で数字を扱った内容である。そこのところに、逆転した主張の真相がある。
タイトルの元になった例を挙げよう。店主ひとりできりもりしているあるラーメン屋では、店主が出前に出てしまうと店は無人になり、そのためによく食い逃げが発生する。アルバイトを雇えば解消されるだろうが、アルバイト料の相場と食い逃げの頻度から言って、アルバイトを雇うより食い逃げを放置する方が安くつく。
こんなとき、どうするか? 会計的な視点から言えば、コストパフォーマンスのいい方を選べ、ということになる。つまり、「バイトは雇うな」だ。一方、非会計的な視点から言えば、「食い逃げが放置される店」というイメージが定着してしまうよりは、コストがかかってもバイトを雇い、食い逃げを見逃さないようにした方がよい、という考えが出てくる。「バイトを雇うな」なんて大間違い、というわけだ。
このように、どのような視点から見るのかによって、同じ問題に対しても導き出される答えは違ってくる。それが、上巻と下巻で真逆の主張をしている理由なのである。
視点によって答えが変わるということは、逆に言えば、ひとつの視点しか持たないことは危険である、ということである。別の方法があるかもしれないのに、それを一顧だにしないのだから。山田さんは、現在のビジネスが、ある「二つのこと」を常識として動いていることがその危険な状態にあたるとして、下巻の中で警鐘を鳴らしている。
山田さんは言う。《ビジネスにおいても、生活においても、大事なのは複数の視点を常に持つことです》と。
そこから僕が連想したのは、著書『ひとりでは生きられないのも芸のうち』の中で、内田さんが、雑誌『CanCam』のひとり勝ちについて語った文章である。
CanCamは「めちゃモテ」をコンセプトにしたファッション誌。「めちゃモテ」とは、ちょっとずつすべての人から愛されるファッションのことを指す。
内田さんによれば、彼の勤務する大学では、毎年多くの新入生がCanCam的ファッションで決めてくるのだそうである。「めちゃモテ」で決めている彼女たちは、ちょっとずつすべての人に愛されるから、すぐにみんなと友達になってしまう。
面白いのはここからで、一度友達の輪が形成されてしまうと、次からはそれぞれ、思い思いの装いをしてくるようになるというのである。
つまり、彼女たちは、本当はそれぞれ好みの服装があるにも関わらず、入学直後は戦略的に、CanCam的ファッションで決めてきているのだ。大学生活を有意義に過ごすために必須な「友達の輪」をいち早く確保するために。
これは、自分本位な視点のほかに、他者本位の視点も持ち合わせているからこそできる技だ。
一方で、自分本位な視点のみで、はじめから自分の好きな服装でやってくる新入生は、CanCam的新入生に比べて、友達を作るのが遅れるのだという。
確かに、複数の視点を持てる人の方が、持てない人に比べて、ずっと有利にものごとを運ぶことが出来ているのである。しかも、こんな身近な場面でも。
複数の視点を持つこと。視野狭窄に陥らないこと。
それが、よく生きていくためには非常に重要なのだ。
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